上野製作所

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UENOプロダクトレポート

Vol.09 ステンレス加工設備と技術

職人の技術と最新の加工機器の融合

 上野製作所におけるステンレス加工の歴史は創業時から始まり、現在も業務のメイン事業となっています。ステンレスという、誕生から100年程度と、金属としては比較的歴史の浅い素材の一番の特徴は、その名前、ステイン(錆)+レスが示す通り、さびにくい点です。水に強い新素材ステンレスの登場はあらゆる環境整備に大きな影響を与えることになります。日本では業務用に先駆けて住宅用キッチンに用いられたようで、1956年(昭和31年)に公団住宅での住宅用流し台にステンレスが用いられたという記録が残されています。ステンレスとは鉄にニッケルや炭素などを加えた合金鋼で、当然ながら金属ゆえの強度があり、切る、曲げる、削るなどの加工には高い技術と知識が必要とされます。上記の日本最初の流し台でも大変な苦労があり、開発技術者が完成の折には涙を流したというエピソードが残されているほどです。

 現在ではステンレス加工機器も大きく進歩して、2017年1月から新規導入した最新加工機器(LC-C1NT)では設計図面を元に、コンピュータープログラムによる詳細な加工が可能になることに加え、作業スピードも格段に向上しており、生産性がこれまでと比べて大幅にアップしています。その結果、チェックや細やかな仕上げ加工を十分に行えるようになり、最新機器と積み重ねてきた技術が融合することによって、これまで以上にお客様に快適な設備や作業空間をお届けできるようになりました。複雑な加工をスピーディーに、かつ正確に行える加工機器を導入することで、いずれ職人の技術が消えていくのかというと決してそうではありません。機械ができることは機械に任せて、その上に、深い知識と、生み出される製品への理解を持った人間の技術が加わることで、さらに高いレベルの製品作りが可能になります。

 単純に穴を開ける、プレスする、角を折り曲げるといっても、少しのミスが全体の強度、造形の乱れに直結するだけに容易ではありません。上野製作所の工場のスタッフは穴開け、曲げ、プレス、研磨、溶接などステンレス板金加工のあらゆるステップを全員が行えるように日々トレーニングされています。すべての板金加工を実際に体験することにより、それぞれの作業の重要性を理解し、どのステップもおろそかに出来ないことを体感的に理解します。また、このことは作業ローテーションなどによる労働環境の整備や、高い技術の継承という面でも非常に意味のあることです。上野製作所では最新の設備で生産性を高め、積み上げてきた技術力でさらなる高品質の製品作りを行っていきます。

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